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『それまで、居飛車党だった大山康晴さん(15世名人)が、突然、振り飛車を指し始めた。このことについて、少し話しておこう。
中野の将棋連盟は普通の家で、応接間を事務所にしていた。大阪から大野八段が来て泊った。朝、事務所で大山さんに会った。「大山、お前顔色がわるいな。どうしたんだ」「升田さんにタイトルを全部とられたら対局が多くて、くたびれちゃったのよ」
升田さんは昭和32年、名人、王将、九段の三冠王になった。このとき、大山さんは無冠だった。大野さんは関西の木見金冶郎八段(九段)の高弟で、升田さんと大山さんは弟弟子だった。大野さんが言った。「大山、くたびれるのは矢倉みたいな辛気臭い将棋をさしてるからや。将棋ってのはな、振り飛車をやるんや。振り飛車は角道を止めて、飛車を好きなところに持っていって王様を囲ってな、それまでは顔を上げんでいい。顔を上げると相手が攻めてくるから、それをこなすのは大山、わしよりお前のほうがうまいだろう。大山、お前は今日から振り飛車をやれ」と大野さんがいうと、大山さんは、「はい」と大きな声で答えた。
(将棋世界 2005 9月号「時代を語る。昭和将棋紀行」丸田祐三九段談)』

「それまでは顔を上げんでいい。顔を上げると相手が攻めてくるから」
つまり、パソコンとか、ゲーム機では伝わらない。向かい合って指す将棋の醍醐味がここにある。
棋は対話。内容もさることながら、ちょっと面白かったので載せてみました。
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人の不幸が、人を幸せにするようなところがある。

近所のひとの死はひとを哲学者にする。

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